私について
デジタルプロダクトを中心に、サービスデザイン・UX/UIデザイン・デザインマネジメントなど、領域を横断してデザインに携わってきました。そんな私が、自分のできることを一つの言葉で表すなら「センスメイキング」だと考えています。
新しいプロジェクトが始まるとき、解くべき課題や進むべき方向が最初から明確になっていることは多くありません。
「この技術を使って何かできないか」という手段から始まることもあれば、複雑なサービスについてメンバーそれぞれが異なる理解を持っていることもあります。事業責任者の頭の中には構想があるけれど、まだうまく言葉になっていないこともあります。私は、そうした曖昧で複雑な状況に意味を与え、皆が理解し、扱える状態にしていくことを得意としています。
人と対話し、ホワイトボードに書き出し、情報を構造化し、図や言葉として可視化する。必要であればユーザーに会い、仮説を確かめる。そして少しずつ具体的な体験へと落とし込み、最後はユーザーが実際に触れるUIまでつくる。
曖昧なものを、対話とデザインで前に進める。
それが、私の考えるデザイナーとしての役割です。
できること
専門領域はWebやアプリといったデジタルプロダクトのUX/UIデザインですが、実際のプロジェクトではその前後まで含めて関わることが多くあります。
サービスデザイン(構想整理・意思決定支援 / 情報構造化・可視化 / サービス設計 など)
まだ輪郭のない事業構想やプロジェクトについて、PdMや事業責任者との対話から整理していきます。サービスブループリントやジャーニーマップ、図解なども活用しながら複雑な情報を構造化し、チームが同じものを見ながら議論・意思決定できる状態をつくります。
UXデザイン(探索・仮説検証型リサーチ / 体験設計 など)
定性・定量リサーチの設計から分析、ユーザー体験の設計までを行います。すでにある仮説を確認するだけではなく、ときには「そもそも解くべき課題は何なのか」というところまで立ち戻り、ユーザー起点でプロジェクトを捉え直します。
UIデザイン(ラピッドプロトタイピング / UI設計 など)
抽象度の高い構想を、ユーザーが実際に触れられる形まで落とし込みます。手書きのワイヤーフレームなどのラピッドプロトタイピングから始め、仮説検証を繰り返しながら、情報設計から表層まで破綻のないUIへと精度を高めていきます。
デザインマネジメント(育成戦略・ロードマップ設計 / コーチング・1on1 / 育成文化づくり など)
デザイナーの育成やデザイン組織づくりにも携わってきました。答えを教えるだけではなく、問いかけと内省を通じて、本人が自身の課題を認識し、自ら学び続けられる状態をつくることを大切にしています。
また、コミュニケーションデザイン・ブランドデザインの領域まで支援することも可能です(ブランドストラテジー / ビジョン策定 / VI・コミュニケーションデザイン など)
創業者や事業責任者との対話から、その人や組織が持つ想いを言語化・構造化します。ビジョンやブランドストラテジーからロゴ、プロダクト、コミュニケーションまで、一貫したブランド体験へつなげます。
アプローチ
私のアプローチは、パソコン画面外のホワイトボードや付箋、メモ帳から始まることがよくあります。
PdMや事業責任者、プロジェクトメンバーと話しながら、まずは頭の中にあるものを外に出してみる。言葉を並べ、線でつなぎ、違和感があれば問い直す。
対話する → 構造化する → 可視化する → ユーザーに会う → 小さく形にする → 検証する
このプロセスを行き来しながら、徐々にプロジェクトの解像度を上げていきます。
特に重視しているのは、すぐに「作ること」を始めないことです。プロジェクトがうまく進まない原因は、UIの品質にあるとは限りません。メンバーによって見ている景色が違う。言葉の定義が違う。目的と手段が入れ替わっている。ユーザーについて話しているつもりでも、実際には提供者側の論理だけで考えている。
そうした状態で表層のデザインを始めると、目に見えるものの強さによって、本来考えるべき議論が「好きか、嫌いか」に変わってしまうことが往々にして起こります。
そのためまずは見えないものを見えるようにする。
ホワイトボードでも、付箋でも、Figmaでも構いません。複雑な状況に一度輪郭を与え、チームで同じものを見られるようにする。そしてユーザーの声によってその理解を更新しながら、プロダクトへと近づけていきます。
考え方
私はUIデザインに「用の美」があると考えています。
UIデザインは一見すると地味に映るかもしれませんが、私は美しいUIを見ると強く惹かれます。
その美しさは、装飾ではなく“必然性”から生まれるものだと考えます。
なぜこの情報がここにあるのか。
なぜこの順番なのか。
なぜこの大きさなのか。
なぜこのインタラクションなのか。
一つひとつにユーザーやビジネス、サービスの構造から導かれた理由があり、それらが上から下まで矛盾することなく破綻なく組み上げられている。私は、そんなUIを「美しい」と感じます。
だからこそ、私にとってサービスデザイン、UXデザイン、UIデザインは別々の仕事ではありません。
ホワイトボードでプロジェクトの構造を整理することも、ユーザーインタビューで本質的な課題を探ることも、ジャーニーマップを描くことも、UIの1pxを調整することも、一本の線でつながっています。
上流で見つけた必然性を、最後まで失わずに形にする。
逆に言えば、最終的なUIに必然性を持たせるために、必要であればどこまでも上流へ遡る。センスメイキングによって「なぜ」を見つけ、その必然性を破綻なく組み上げることで「用の美」へとつなげる。それが、私がデザインという仕事において大切にしていることです。
こんな方へ
私が特に力を発揮しやすいのは、すでに答えが決まっているプロジェクトよりも、まだ「何をどう進めるべきか」に余白があるプロジェクトです。
新規事業やプロダクトの構想はあるものの、まだ具体化できていない。作りたい機能はあるものの、それが本当にユーザーの課題を解決するのか確信が持てない。さまざまな職種のメンバーが参加しているものの、目指しているものが少しずつ違う。
あるいは、PdMや事業責任者の頭の中には構想があるものの、それを一緒に整理し、言語化・可視化しながらプロダクトへ変換してくれるデザイナーがいない。
また、デザイナーはいるものの、ジュニア・ミドルレイヤーが中心で、「このデザインはなぜ良いのか/なぜ良くないのか」を評価し、言葉にして伝えられるシニアレイヤーがいないという組織にも力になれると考えています。単にレビューで正解を渡すのではなく、判断の背景にある考え方まで言語化する。それを繰り返すことで、デザイナー自身がやがて「なぜ」を考え、自分で判断できる状態を目指します。
事業の構想整理、ユーザーリサーチ、体験設計、UIデザイン、ブランドづくり、そしてデザイナーの育成。一見すると異なる仕事に見えますが、私にとってはすべて「センスメイキング」という一つの仕事につながっています。
まだ言葉や形になっていないものを、人との対話から理解し、構造を見つけ、ユーザーにとって必然性のある形へ変えていく。
ホワイトボードから始まった曖昧なものを、最後は誰かが毎日使う、美しいものへ。
その一連のプロセスに伴走することが、私のできることです。
相性について
私のアプローチが、すべてのプロジェクトで同じように力を発揮できるとは考えていません。例えば、要件や仕様がすでに完全に決まっており、決められたものをそのまま制作することだけが求められるプロジェクトなど、ユーザーからのフィードバックを受けて仮説や設計を見直す余地がない環境では、私の強みであるセンスメイキングを十分に活かすことは難しいと考えています。
また、デザイナーと意思決定者との距離が遠いプロジェクトも同様です。リサーチや対話を通じて新たな課題を発見しても、それを意思決定者と共有し、必要に応じてプロジェクトの方向性やスコープそのものを議論できなければ、デザインできる範囲は限定されてしまいます。
また、どんなプロジェクトにおいてもユーザー中心の視点は必要だと考えていますが、一方で、常にUXデザインを最優先すべきだとは考えていません。
サービスのフェーズによっては、リサーチや体験設計に時間をかけることよりも、まずマンパワーで顧客を獲得することや、一件一件の要望に応えながらオペレーショナルエクセレンスを向上させるなどして事業そのものを成立させることの方が重要な場合もあります。
今、何に時間とコストを使うべきなのか。どこまで設計し、どこから先はまず作って試すべきなのか。事業のフェーズや制約を踏まえて、デザインの優先順位を判断することもまた、デザインの仕事だと考えています。